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日本フランス語学会第303回例会

日時: 2015年11月7日(土) 15:00-18:00
会場: 早稲田大学文学学術院 (戸山キャンパス) 33号館16階第10会議室

発表者: 本間 幸代 (国際学院埼玉短期大学非常勤)
「〈形容詞 + par N〉型構文について— célèbre par Nを中心に—」

司会: 守田 貴弘 (東洋大学)
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 本発表では、下記のように〈形容詞 + par N〉で表される用法を分析する。

(1) Lyon est célèbre par ses soieries.
(2) Ce livre est intéressant par la variété des matières.
(3) Il est petit par la taille mais il est grand par l’esprit.

このparの用法は、arriver par avion, passer par Lyon, saisir qn. par le brasなどの用法とよく似ている。例えばarriver par avionの場合、 « avion »は出発地点から到着地点への移動を可能とする媒介であり、また複数の移動手段の中から選択されたものであると解釈される。上記の例(1)-(3)でも同様、例えば例(1)は、絹業を介してリヨンが有名となっていると解釈でき、また « ses soieries »はリヨンを有名にしていると考えられるものの内の一つであると捉えられる。つまり、〈形容詞 + par N〉型構文は、parに後続する語句が(広義における)媒介を表し、且つその媒介が複数の選択肢の内の一つであると捉えられる点で、arriver par avionなどの用法と共通の特徴を持つと言える。
 しかし、これらの特徴だけでは説明ができない言語事象が少なからず存在する。例えばcélèbre par Nの場合であるが、次の例(4)と(5)に見るように、なぜparが所有形容詞と親和性があるのか説明できない。

(4) Lyon est célèbre par (*les / ses) soieries.
(5) Bordeaux est célèbre par (*le / son) vin.

また、次の例(6)は、parに後続する語句が所有形容詞で始まっているにもかかわらず不可となっているが、前例と何が異なるのだろうか。

(6) *Le Pape prie devant le tableau de Jésus Miséricordieux célèbre par ses grâces.

 本発表では、移動手段を表す名詞のうち、voitureがparと共起できない(*Il vient par voiture)ことと関連付けて、これらをはじめとする疑問点の解明を試みる。また、célèbre par Nに関しては、従来より比較の対象とされてきたcélèbre pour Nとも比較しながら比較検討を進めたい。

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*早稲田大学文学学術院 (戸山キャンパス) へのアクセス
http://flas.waseda.jp/flas/access/
*学会ホームページ
http://www.sjlf.org/