お ぼ え が き

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 政党名や国名にあらわれる国籍を地名からつくるか、民族名からつくるか、という区別に関して、ヤマサキセイコー (1989) 『冠詞』私家版 pp.31-32 がつぎのようなおもしろい指摘をしています。

「第2インターナショナルおよび第3インターナショナルの諸党は、その国際主義的信念から自らの名前に民族名を冠せず国名を冠した。たとえば上記のロシアの党名 Российская Социалдемократическая Рабочая Партия は、Российская を冠し、Русская を冠しない。ドイツ社会民主党は、die Sozialdemokratische Partei Deutschlands であって、die Deutsche SP ではない。ドイツ共産党も、die Kommunistiche Partei Deutschlands である。これをナチスの正式の名 die Nationalsozialistische Deutsche Arbeiterpartei と比較せよ。しかるにフランス共産党が le Parti communiste français を名乗るのは民族主義的偏向ではないか。le Parti communiste de France というのはフランス語の精神にあわないというのなら、世紀の転換期に le Parti socialiste français と le Parti socialiste de France とがあった事実をどうするか。2つのドイツがそれぞれ die Bundesrepublik Deutschland と die Deutsche Demokratische Republik であるのはどういうわけか。資本主義のドイツのほうがマルクス主義の民族理論に忠実である!」

 そういえば、当時はまだ東西ドイツが分裂したままの時代でしたね。
 あえてヤマサキセイコーに反論すると、Российская と Русская の区別、Deutsche と Deutschlands の区別に直接対応するものはフランス語にはないといったほうがよいと思います。